-レビー小体型認知症のモデルケース-
認知症の患者さんのご家族とお話してよく思うのは、認知症の心理・社会症状(BPSD)とご本人の人柄、人間関係などを混同し、悩んでいる方が多い点です。
4回にわたり、典型的な認知症の4タイプ、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症について順にご紹介したいと思います。
今回はレビー小体型認知症の巻です。
モデルケース;79歳男性。高卒。自動車販売会社社員。
真面目に仕事を続け、最後は店長で退職。
その後は妻と二人暮らしを続けてきた。
75歳ころ、不眠、食欲不振、弱気になるなどがあり、近所の精神科クリニックを受診、軽症のうつ病とされ、服薬し、数か月で回復、1年弱通院し、終了した(初期にはうつ病症状のみが目立つ事あり)。
数年前から夜中に妙にうなされ、寝言を言うようになった(レム睡眠行動障害;夢の中で話したり、行動したりしている時、健康な人は実際に話したり、動いたりしないように運動を自動的に抑えるシステムが存在する。それが壊れるので夢の中の会話、行動の通りに話したり、手足を動かしてしまう)。
たまに、夜中に「女の子がいる」と言い出したりした(幻視)。妻が説得するとその場は落ち着いて眠った。
徐々に軽いが物忘れが目立つようになった。
それと並行して夜中に何か見えると騒いだりすることが出てきた。
何か、床からつまもうとしたりもする(せん妄という、いわば「病的な寝ぼけ」が生じたりする)。
妙な寝言が増えてきた。
調子に波があり、はっきりしているときと、話がかみ合わないときがある(意識がスッキリしている時とぼんやりしている時の揺れが生じやすい)。
最近では妻が別人ではないかと疑ったりする(身近な人が他人にすりかわってしまうと誤認する;「替え玉妄想」)。
妻は近くの息子と相談し、二人で本人を説得、何とか、受診することになった。
なお、レビー小体型認知症の人は小刻みで手の振りが少なくとぼとぼと歩くようになるかもしれません。
また、便秘で悩む事が最初の症状となるときが多いと言われます。進行すると強烈な立ちくらみが生じたりもします。ため息が出ますね。