-血管性認知症のモデルケース-

認知症の患者さんのご家族とお話してよく思うのは、認知症の心理・社会症状(BPSD)とご本人の人柄、人間関係などを混同し、悩んでいる方が多い点です。
4回にわたり、典型的な認知症の4タイプ、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症について順にご紹介したいと思います。
今回は血管性認知症の巻です。

モデルケース;80歳男性。高卒。もと青果店自営。70歳で引退。妻と二人暮らし。

高血圧、糖尿病で長年、治療中。
5年前に心筋梗塞で入院したことがある。

時期は明らかでないが、最近、忘れっぽさが目立つ。
本人に訊くと自分でもそう思うと言う。(初期には漠然とした病感(病気かもしれないという自覚)があることもある)。
しかし、周囲が心配しているよりは軽く考えているようだ。

本来は活動的な人柄だが妙に出不精になった(アパシー;積極性がなくなり、行動しようという気持ちが薄れてしまうこと)。
自宅で何となくぼんやりしている。
昔よりも短気になり、つまらぬことでカッとしたりするが、すぐに収まる(感情失禁;感情を抑えるブレーキが壊れ、些細な刺激でひどく怒ったり泣いたりする)。

話し方がモゴモゴするようになった(口のもつれ;構音障害と呼ぶ)。
2年前に朝起きたときに左半身が動きにくくなり、軽い脳梗塞として数週間、入院した。
その後に、出不精の傾向、話し方の不明瞭さ、物忘れがひどくなったようにも感じる(脳血管障害による運動障害を合併することもあり)。
妻に強く勧められ、同意し、病院を受診。

なお、血管性認知症の人はゆっくりと歩き、表情は不機嫌で鈍く、話す速度も遅く小声で口のもつれのある人が多く見受けられます。
昔の教科書には階段状に段付きで進行するとされますが、実際はじわじわと進む人も多いようです。
また、予防、進行遅延のためには生活習慣病(高血圧症、糖尿病など)を予防し、また、それらの症状を軽くするように治療を受け、生活改善に注意することが大切となります。
認知症対策とその他の首から下の手入れが一致する病状と言えるのかもしれません。