認知症になりたくない
今日は認知症予防の対策について少しお話したいと思います。
結論から言いますと、認知症に対抗する手段として、効果が証明されていると言ってよい事は一つだけです。
「運動」です。
現代の日本は超高齢社会となってきていますから、「認知症になりたくないと思ったらこれを飲めばよいですよ」と言わんばかりの「健康食品」がテレビの宣伝でも頻繁に出てきます。
これらの中の少しは予防効果が期待出来るかもしれませんが、効果が明らかなものは「運動」です。
おそらく、これはあまり歓迎して頂けないメッセージだと思います。
「(運動は)しなければならないのはよくわかる。しかし、その余裕がない」とおっしゃる方が多いと思います。
普通の日本人の本音は「今まで通りの生活が精一杯だ。これ以上、頑張るのは無理だ。認知症も予防したいが、何か新しい事を始めるゆとりは無い。今の生活で出来ることはないか」のあたりにあるのではないでしょうか。
そうすると、手軽に摂取出来る健康食品に期待し、通販で申し込みをしたり、「健康によい」とされる食物を多くとったりすることで自分を慰めていることも多いのでは無いでしょうか。
もちろん、健康食品の全てが無駄だと言いません。
食べるものに気を付けるのもよいことでしょう。
例えば、抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれる食品は悪くはないように思えます。
しかし、基本は運動だと思います。
ここで話を広げますが、生活習慣病については皆さん、ご存じだと思います。
この生活習慣病が認知症発症へ一役買っているのはご存じですか?
高血圧、脂質異常症、糖尿病、そして、それらを生み出す背景となる肥満、これらについて注意し、「肥満を避ける。生活習慣病にならないように努力する。なったら、放置せず、キチンと通院し、指導を受け、それが少しでも軽くなるように努力する」、これが大事です。
生活習慣病は血管性認知症(血管がダメになり、そのため、血流が途絶えることにより脳の神経細胞が死滅し、認知症になっていく病気)だけでなく、変性型認知症(例;アルツハイマー型認知症。脳内にタンパク質のゴミがたまり、そのために2次的に神経細胞が死滅していき認知症となっていく病気)でも発症を助長させていくことが知られています。
ついでに挙げておきますが、喫煙は認知症へのなりやすさを1.3倍強高めることが知られています。
話を元にもどします。
運動が認知症発症を抑制してくれる効果については色々な機序が想定されていますが、統計的に効果があることは確認されています。
更に強調しますが、歩行速度の低下は認知症の発症と関連するとも言われています。
運動しましょう。
手軽に出来るのはウォーキングです。
週に数回、少し早めの速度で20-30分間散歩するのはどうでしょう。
他に先ほど挙げた食品、活発な余暇活動なども一般によいと言われています。
まとめると、一日中、茶の間に座り、タバコをふかしながらぼんやりテレビを眺めている生活はやめたほうがよいとなります。
余暇の時間を有効に使い、友人と楽しく話しながら活発に体を動かし、大いに笑い、ポリフェノールを含んだ食品を多めにとり、生活習慣病をきちんと管理していく、そのような生活が「理想的?」ということになります。
まあ、こう言っても「それはわかっているよ。だけど、今の生活では無理だよ」という答えが返ってきそうです。
現在の日本人の平均的生活を考えれば、その通りなのだと思います。
しかし、挙げさせていただいたような生活を目標に少しでもそれに近づくように「工夫」していくことは自分を守る上で大切なのではないでしょうか。
人間、誰でも疲れていると「白か黒か」の極端な判断に近づきやすくなりますが、灰色でよいと思います。
少しでも白に近い灰色になるように考えていくことが大事ではないでしょうか。